薬物使用は犯罪なのか?
あまねです。
昨日、依存症の方の当時社会に参加させていただきました。
その中で、インパクトがあったお話が、タイトルの
「薬物使用は犯罪なのか?」
です。
確かに薬物は法律で規制されていて、罪も罰も決められています。
当時社会の中でも、色んな意見交換が出来たのですが、
現役刑務官の方が、口火を切ってこの話題になったのです。
刑務官の方は、服役したからといって、薬物依存が治るわけでもない。
また、薬物を使用して刑務所に戻ってくる人が多い。
本当に刑務所に入れることが、薬物対策になるのだろうか?
と、実際の現場での生の声を聞かせてくださいました。
薬物は再犯率が高いです。
刑務所に収監している間は、薬物から離れた生活が送れるでしょう。
でも、一旦出所してしまうと、残念なことに薬物は簡単に手に入れることが出来てしまうのです。
売人が悪いのは当然のことです。
でも、目の前に薬物をぶら下げられたら、それを拒否できる強い意志を刑務所で得ることができるでしょうか?
一度でも薬物を使用してしまうと、脳かその刺激を欲しがってしまいます。
それは、自分の意志ではコントロールできないのです。
薬物に限らず、全ての依存症という病気に共通するのですが、一度依存してしまった物を断ち切るには、そうとうの努力と時間が必要になります。
薬物依存者にとって本当に必要なのは、薬物に二度と手を出さないと固く決意出来る場所。一人では絶対にくじけてしまうので、それを支える人達。
本当に必要なのは、そういう事なんじゃないでしょうか?というお話でした。
実際に、更生施設も全国にありますが、多くは民間のNPOの活動で成り立っています。
薬物に依存した人たちが一緒に生活し、勉強し、支えあいながら自立に向けて訓練を知る施設です。
多くは若い人で、地元の人との交流も薬物依存から脱却するためにとても影響しているそうです。
まずは、薬物依存の方を色眼鏡で見ず、「依存症という病気の人」ということを頭において考えてみるのがいいかもしれないな・・・と思いました。
私も、お話を聞くまでは、薬物=悪というイメージを持っていたので、薬物依存に苦しんでいる当事者の方とお話をさせていただいた感想は、本当にごく普通の人なんです。
どこにでもいるような普通の人なんです。
どこで道を踏み外してしまったのかは、後からわかることであって、最初から「依存するぞ!」と思って依存症になる人はいないという事です。
これはどんな精神疾患にも通じるもので、私もなりたくてうつ病になったわけではないので、とても共感する部分がありました。
薬物依存から抜け出すために本当に必要なものは?
また、今回の当時社会の代表の方がお話されていたのですが
■ギャンブル依存=病気
■アルコール依存=病気
で、精神科などで治療を受けることが基本になり、そこには刑事罰はありません。
たとえ、借金をしても、罪に問われることはないのです。
(民事訴訟は別にして)
なのに、なぜ薬物依存だけは病気ではなく、罪になってしまうのか。
同じ依存症ではないのか?
という事を訴えておられました。
一理あると思ってしまいました。
その為に必要なのは、依存症の原因となるもの(薬物を販売する人)をもっと厳しく罰する必要がある。今の刑罰だと罪が軽いから、気軽に売買をしてしまう。
というお話がまず1つ。
それから、依存症の方を受け入れ、治療する施設を作ることが必要。
薬物使用で懲役刑を科せられ、出所した方は、行き場がない人が多いとのことです。
家族からも見放され、仕事もなく、途方に暮れて、現実逃避をするかのようにまた薬物に手を出してしまうと。
薬物に頼らなくても楽しく生活が送れる環境こそ、治療のために必要なのではないか?というお話でした。
依存症の怖いところ
依存症は、自覚がない場合がほとんどだそうです。
周囲が「やめて」と言っても、本人は依存している自覚がないので、何故止められるかが分からないんだそうです。
家族がやめさせるために、現金を取り上げても、現金欲しさに家族に暴力を振るったり、ひったくりや強盗など、罪を重ねてしまうケースが多いそうです。
お金欲しさに罪を犯してしまうのです。
正常な判断をさせなくなるくらい、依存は根っこが深い問題です。
脳内の「ドーパミン」が、刺激を欲しがって暴走してしまうのです。
もう、頭の中は依存しているもののことでいっぱいで、他のことは考えられない状態です。
アルコール依存症の方の中には、家族にお酒を捨てられたり隠されてしまうと、消毒用にエタノールを飲んでしまう人もいるそうです。
依存症は自分でコントロールできないという点で、本当に怖い病気です。
多分、一番怖いのは自分がコントロールできない本人だと思います。
薬物依存になってしまう原因
これも、当事者の方のお話から分かったことなのですが、
テレビなどのメディアにより、「薬物を摂取するとこんな危険な状態になる」
というある意味「おどし」ともとれる過剰な恐怖心をあおる報道が逆に依存を増長させているというのです。
誰でも、最初に使う時は、恐怖があります。
テレビでいっていたように、人格が変わったようになってしまうのだろうか?といった不安が付きまといます。
でも、実際に使ってみたら。
なんだ。大したことないじゃん。ちょっと陽気になるくらい?
と、想像していた症状と、実際自分が体感した症状とのギャップに驚くそうです。
この「思ったよりたいしたことない」という感想が、「いつでもやめられそう」とか
「もうちょっと強くしても大丈夫だろう」という考えに繋がっていってしまい、気が付いたら依存症になってしまう。というのです。
私たちは、薬物について正しい知識を持ち合わせていません。
「危険」「使用したらダメ」
という禁止は教えてもらえます。
「幻覚が見える」「現実と夢の区別がつかなくなる」
といった症状も教えてもらえます。
でも、実際にどうなのか。どうしてダメなのかという根本的な所については教えてもらっていない気がします。
使っちゃダメなものなんだから、使わなければ教える必要もない
という人もいるでしょう。
でも現実は多くの薬物依存症の方が苦しんでいるのです。
もっと正確な情報を、誰でも簡単に得ることが出来る機会を設けることが、
薬物依存症患者を増やさない1つの防波堤になるのではないでしょうか?
と、今回の当事者会に出席して感じました。
ギャンブル依存症は親から引き継がれる?
最後にギャンブル依存症についてもお話しておきます。
ギャンブル依存症になる方は、圧倒的に若い人が多いです。
10代から20代が多いそうです。
そういう人は、初めてギャンブルをした年が比較的若いのです。
早い人では小学生のころからギャンブルをしているとか。
それは、競馬場や競輪場が昔に比べて入りやすい環境になっている事。
家族でも楽しめますよという雰囲気を作り出していることも原因の1つのようです。
ここで重要なのは、ギャンブル場に子供を連れて行ってはいけないという事ではなく、
子供に例えお遊びのつもりでも、ギャンブルをさせてはいけないという事です。
例えば「次のレース、お前は何番が来ると思う?」というようなことを子供に聞くことです。子供にレースの結果を予想させることです。
例えお金をかけていなくても、予想が当たればうれしいし、外れたら悔しいです。
このうれしいと悔しいの気持ちが、結果的にギャンブル依存症にさせてしまうのです。
また、当たったときのうれしさを味わいたい。悔しい思いをして帰りたくない。
そう思ってしまうのです。
しかも子供の脳は未発達です(20歳くらいに出来上がるというお話です)
未発達の脳に強烈な刺激を与えるので、大人よりも依存しやすくなってしまうのです。
その点を注意して、家族で楽しく競馬場や競艇場などで過ごしてください。
連れていかないに越したことはありませんけどね。
ということで、今回は当時社会を通して見えてきた、今まで知らなかったことをお話しました。
賛否両論あると思います。難しい問題です。
何かありましたら、コメントお願いします。
私もお勉強させていただきます。
読んでくれてありがとうございました。