あまねの心理師への挑戦

現在放送大学で心理学を学んでいます。 メンタル心理カウンセラー取得。上級心理カウンセラー取得。

しつけと体罰(質問箱)

あまねです。

 

今回は実際に質問箱に投稿された質問の内容について考えながら、しつけと体罰についてお話しようと思います。

なお、今回取り上げる質問箱の質問は、私のフォロワーさんあてに届いたもので、

フォロワーさんからはお許しをいただいての掲載であることを先にお断りしておきます。

 

1.いじめをした息子を殴った父親

f:id:amane8310:20200118162208j:plain

 

というお話です。よくありがちなお話ですよね。

さて。これはしつけなのか?体罰なのか?と考えると。

 

あなたはどう思いますか?

 

悪いことをして反省しない息子。

いくら説教をしても聞き入れない息子。

 

だったら殴ってもいいのでしょうか?

 

この文面からすると、父親が殴ったのは明らかに体罰にあたります。

何故かというと、殴ったタイミングです。

 

息子が「やーだね」とふざけた態度を取ったときに殴っているのです。

明らかに、父親が感情的に殴っていますよね。

 

以前もお話しましたが、感情的になっている時の親からは、子供は何も学べません。

親だから、とは言いません。親だって人間です。感情的にもなるでしょう。

かといって、感情に任せて手をあげてしまったら、それはもう躾ではなくなります。

 

その後、息子のいじめがなくなったというのも、父親に殴られたからとの因果関係はわかりません。もしかしたら殴られる前の父親からの言葉で反省していたのかもしれません。

また、反省はしていなくても、また殴られるのが嫌だから、いじめるのをやめた可能性もあります。

殴られたからやめたが本当の理由だったら、それこそ体罰ですよね。

そうでないことを願います。

 

2.実際に私が経験したお話

私が中学生のころ、いわれのない噂で、女子からのけ者にされたことがありました。

私は努力とか根性を母親の胎内に忘れてきたので、嫌なら行かない!って、中学はほとんど不登校でした。

 

ある日の夜、家に誰かが来ました。

先頭に立って私をのけ者にしていたクラスメイトとその両親でした。

私が学校に行っていない間に、学校で話し合いがあったそうです。

 

クラスメイトは両親の後ろに隠れていました。

 

私の祖父が対応したのですが、玄関でいきなり彼女の両親が土下座をしたのです。

「私どもが至らないために、大切なお嬢様を傷つけてしまって申し訳ございません」

と大きな声で謝っていました。

クラスメイトは、土下座する両親を立って見ていました。

 

ここで、彼女の両親は、彼女に「お前も謝れ」とか「一緒に土下座しろ」とかは一切言いませんでした。

あくまでも悪いのはそんなことをするように育ててしまった両親にあって、彼女自身は悪くないというスタンスでした。

 

私の祖父も、両親の誠心誠意の謝罪を受け入れました。

「気のすむまで頭をさげてください」

と祖父が言いました。

 

うしろで立っていたクラスメイトは、しばらくすると、「もういいよ」「やめてよ」

「私が悪かったんだから」

と、泣きながら両親の背中に抱きつきました。

 

「何か悪いことをしたのか?」

「いけないとわかっていながらやったのか?」

 

と、祖父が彼女に聞きました。

彼女はだまって頷きました。

 

祖父とクラスメイトのやり取りを聞いていた彼女の母親が、

「何でいけないってわかっていながらこんなこと・・・!」

と、感情的に彼女を叩こうとしました。

その手を、彼女の父親が止めました。というか、娘をかばって父親が叩かれました。

 

「おかあさん、叩いてわからせるのはイヌですよ」

「娘さんは自分のやったことを理解している」

「今日の両親の姿を見ていい勉強になったと思う」

 

と、祖父がその場をまとめました。

帰りは、祖父が来るまで送っていきました。

 

数日後、おそるおそる教室に私は入りました。

あのクラスメイトが抱き着いてきました。「ごめんね」って。

 

でも、あの頃の私には彼女を受け入れることが出来なかったので、

「反省してるなら2度と関わらないで」

と突っぱねてしまいました。

それ以来、口をきくこともなく卒業しました。

 

3.私の体験を書いた理由

これは、質問箱に来たお話との比較に書きました。(事実です)

質問箱のお父さんは、息子を責め続けました

私のクラスメイトのお父さんは娘を一切責めませんでした。

 

息子と娘の違いでしょうか?

 

実はクラスメイトも家では叩かれたのでしょうか?

 

ともあれ、私のクラスメイトは、両親が娘を連れて「謝り」に来たのです。

これは、とても大きいことだと思います。

中学生は未成年で、責任は保護者である親にあります。

それを、体現したのです。娘の前で。

 

「娘は悪くない」

 

と言い切った彼女の父親に、何言ってるの?って当時の私は思いました。

でも、大人になった今なら、責任能力がない娘に代わって謝罪に来ました。

っていう形を取ったのだとわかります。

 

質問箱のお父さんは、息子に何かを示したのでしょうか?

「いじめた相手にあやまれ」と口で言ってもわからない。

なら殴ってわからせる。

 

じゃなくて、父親である自分がお手本を見せるべきだったのではないでしょうか。

子供は親を見て育ちます。

私的には、自分がしたことで親が土下座している姿を見たら、ショックです。

殴られるよりも痛いです。

そして、自分の行ったことがこんなに大変なことだったんだと、事の重大さに気づけると思います。

 

殴られた痛みはしばらくすれば消えてなくなります。

でも、心に刻まれた痛みは消えません。戒めの痛みとなるのです。

 

4.何が言いたいかというと

はい。殴ったりたたいたりする体罰は、しつけにはならないということです。

喉元過ぎれば・・・なんて言葉もあります。

叩かれたその時は、反省もするかもしれないです。でも、その痛みはいつか消えてなくなります。

しつけとして大切なのは、「親の態度」です。何度も言っていますけど。

子供は親の姿を見て育ちます。親の行動から学びます。

 

殴るのは簡単です。一瞬で済みます。

被害者へ謝罪に行くのは、身体ともに負担が大きいです。時間もかかります。

被害者の家族から、何を言われるかもわかりません。

それでも、それを真摯に受け止めて、その姿を子供に見せること。

これが本当の躾なんじゃないでしょうか?

 

あいにく私には産みの母はいますが、父は不在です。

唯一の親である母親も、ほぼネグレクトでした。

私を育ててくれたのは、育ての父母でした。(祖父の妹夫婦)

 

そんな私がしつけだなんだと言っても、伝わらないかもしれません。

それでも、私の希望も含まれているかもしれませんが、

親は子供のお手本になるような行動をとって欲しいなと思います。

 

きっと、いじめていた息子も息子なりの考えがあっていじめてたのでしょう。

「いじめは悪」=「あやまれ」「反省しろ」

だけではなく、その背景にある「何でいじめるのか」をしっかりと見てください。

きっと話をしても、答えないと思います。でも、その時の目の動き、態度など、

いつもと違うところを探して、頑張って探して、言葉にならない言葉を受け止めてください。

 

理想論かもしれませんが、親って本来そうあるべきだと私は思うのです。

いじめもかくす、いじめられてもかくす。

その隠している部分を、子供は必至で隠そうとするけど、絶対に無意識のSOSが発せられています。

 

そのSOSを見つけられなかったとしたら、まず、「気づけなくてごめんね」と言ってほしいです。いきなり起こらないで欲しいです。

 

思春期は特に難しい時期です。

 

殴らないとできないしつけなんて存在しません。

親が示す態度が一番子供の心には響くのです。

 

今回は、質問箱からのお話をさせていただきました。

 

読んでくれてありがとうございました。