精神障害者に対する過去の対応策。
あまねです。
今回は、表題のとおり、過去のお話をします。
精神疾患自体は、ずっと昔から知られていて、人類の歴史とともにありました。
ただ、昔は今よりも医学が発展していなかったし、そもそも精神疾患というカテゴリーがなかったので、
「あいつは変な奴」
「おかしい人」
と、偏見の目で見られていました。
心理学は哲学から始まった。
大学でいくつかの講義を取りましたが、歴史を遡るとまず出てくるのが
「アリストテレス」さんです。
古代ローマの哲学者です。
アリストテレスさんは、「こころ」や「魂」についてとても熱心に研究をされた方で、
この「こころ」というひとつのテーマを作ったことからも、心理学のはじまりと言われているそうです。
令和の現在でも、「こころ」をきちんと説明することが出来る人はいないですよね。
人間が生存している間の永遠の課題なんでしょうね。
宗教は心理学。
次に、宗教ですが、私は言うほど宗教には詳しくないので、さらっとお話します。
例えば世界最大の宗教である「キリスト教」(宗派全て含めて)ですが、
その「聖書」に書いてあることは、今でいう道徳に近いものなのです。
旧約聖書は、特にファンタジー色が濃く、映画にもなったりしますよね。
「十戒」はその良い例です。
気になる方は、チェックしてみてください。
さて。多くの人が信仰する宗教ですが、宗教によっては特に厳しい戒めが課せられいますよね。
食べるものまで決まっている宗教もあるみたいです。
戒めが厳しければ厳しいほど、人は信仰心が強くなると言います。
神の言葉に従えば、幸せになれるという安心感がそうさせているのだと思います。
無宗教が多い日本人にはちょっとわかりにくいお話ですね。
宗教は、心理学そして精神障害者にも大きく影響を与えてきます。
例1.アドルフ・ヒトラーの理想としたもの。
ヒトラーという名前を知らない人はいないと思います。
どのようなイメージに感じますか?
鍵十字でちょび髭をはやして、残虐な性格な軍人。
多くの人はそういうイメージを持っていると思います。
今でもヒトラーさんについての研究が行われているほど、影響力が強かった人というのは間違いないでしょう。
ヒトラーさんの理想とした世の中は、世界大戦を起こすことでもなく、ユダヤ人を虐殺することでもなく、穏やかな幸せな日常を全ての人々に送ってもらいたいという、めちゃくちゃ平和なものだったんです。
教科書ではこの一行しか書かれません。なぜ?なぜ「隔離」したのでしょうか?
障害者に対する「偏見」でしょうか?
仕事をしない人に対する「罰」でしょうか?
当時のヨーロッパは今と違って、偏見と差別の多い世界でした。
「見世物小屋」という、身体に障害を持って生まれてきた人々が、「見世物」として扱われていました。結合双生児はとても有名で、今でも写真が残っています。
また、性に関してもだらしなく、強姦・売春あたりまえでした。
(キリスト教の国なのにね)
そんな性の道具として扱われたのが、精神障害者でした。
勉強もできず、仕事もできず、家族からものけ者扱いされていた精神障害者が唯一できた仕事です。
こころない人は、精神障害というだけで、人間ではない、動物と同じような扱いをして、もてあそんだそうです。
ヒトラーさんはこのように身体障害をもった人、精神障害を持った人を守るために、「隔離」しようとしたのです。
また、性の道具として扱われてしまうと、結果的に妊娠・出産となってしまいます。
キリスト教では、中絶は禁止事項でしたので(ここは守るんだね)、妊娠したら産まなければなりません。
ヒトラーさんは、精神疾患は「遺伝」するものという考えから、これ以上悲しい精神障害者を増やしてはいけない。という考えもあったのです。
障害者を世間から「隔離」して、これ以上障害者を増やさない。
これがヒトラーさんの考え方です。
「隔離」と書いてはいますが、私は「保護」の方がしっくりきます。
それだけ、差別が激しい時代だったということです。
このことが、その後のアウシュビッツ事件に繋がるのですが、今回は省略します。
治療法も特効薬もない、原因もわからない時代では、「隔離」するしか方法がなかったのですね。
決して「臭いものにふたをする」的な事ではなかったので、誤解がないように。
※あまねはヒトラーさん肯定派というわけではないですよ。
例2.信じられない手術。
次は、精神疾患を手術によって治療しようとしたお話です。
ご存じの方も多いと思いますが、「ロボトミー手術」と言われるものです。
脳の機能が少しずつ解明されてきて、大雑把に脳が溝によって5つに分類され、
そのひとつひとつに役割があるとわかってきたころのことです。
主に暴力的な精神障害者に対して、前頭葉を摘出するという、今では考えられないような手術が行われたのです。
CTもMRIもない時代です。
鼻から棒を差し込んで、前頭葉の辺りをこねくり回して掻き出すというかなり乱暴な手術です。(ちょっとミイラつくりに似てます)
このロボトミー手術を行った患者は、まるで人が変わったかのようにおとなしくなり、
患者の家族は大喜びだったそうです。
実際にこの手術を考案した医師は、ノーベル賞を受賞したんです。
評判は評判を呼び、世界中の医師がこのロボトミー手術をこぞって行いました。
当初は暴力的な精神障害者に行われていた手術でしたが、患者欲しさに、症例欲しさに、手術を行われる患者は疾患に関わらず「精神病」というだけで、どんどん手術をされたそうです。
この手術は、患者の家族や周囲の人々にはとても喜ばれました。
手に負えない暴れん坊が、おとなしく椅子に座っているのですから。
もう、暴力におびえることも、物を破壊されることもありません。
では、手術を受けた患者はどうでしょう?
ほとんどの患者さんが、手術後の後遺症に悩まされ続けたそうです。
なんといっても、上記に書いたように適当で乱暴な手術なわけですから。
後遺症が出ない方が不思議なくらいです。
ただ、前頭葉を失ってしまった患者さんは、自分の思いを伝えることも難しくなります。体も思うように動かせなくもなります。
物覚えも悪くなります。できないことが増えてしまったのです。
様々な後遺症から、自殺を図ってしまう患者さんが世界中で起こり、
最終的に現在では行われていない手術です。
前述したノーベル賞も、なかったことにされてしまったようです。
この手術をめぐっては、日本では殺人事件まで起こりました。
この事件についても、ネットで検索すれば出てきますので、興味のある方は検索してみてください。
まとめ。
このように、今では信じられないようなことが、過去には行われていたのです。
昔の人の考え方もそうですが、今なら違うよって言えることも、その当時はそれが正しく、それが正義だったのです。
もしかしたら、何年後かに今現在の精神障害者に対する私たちの接し方、対応、治療方法が、笑われたり、ありえないって驚かれたりするかもしれません。
今、目の前にあることだけが正しいわけではないのです。
医学が進歩すれば、それだけ助かる人が増えるでしょう。
でも、人間の「こころ」は古代ローマ時代から普遍で変わらないのでしょうね。
本当、こころってわからない。わからないから知りたくなります。
読んでくれてありがとうございました。